ZAKKAN 雑感

日々流れるニュースや読んだ書籍について思ったことを書きつづっています

高収益力を誇る三菱電機の成長戦略とは

 三菱電機の業績が好調だ。2月に発表した連結業績予想では、売上高は4兆3,900億円から4兆4,200億円に、営業利益は3,150億円から3,250億円に上方修正することが分かった。従来より目標として掲げている売上高5兆円にはほど遠いものの営業利益率では日立製作所や経営再建中の東芝を上回る20.3%とトップに立った。

 

 日立製作所の売上高は9.3兆円、三菱電機は4.4兆円と、総合電機の王者である日立製作所には遠く及ばないが、営業利益率では日立の12.4%と比べると20.3%と高く、収益性で上位に立っている。売上高ももちろん大事ではあるが、それ以上に収益性の方が重要だ。

 

 三菱電機は従来からこのような高収益企業ではなかった。2009年度は2.8%だったことを考えると、10倍近く収益性が高まったことになる。もちろん為替の影響もあるが、それだけで他社よりも上回る営業利益率を達成するのは難しい。三菱電機はどのような戦略をとってきたのだろうか。

 

徹底した選択と集中

 

 三菱電機の戦略をひとことで言ってしまうと「選択と集中」だ。

 

 中期経営計画で2020年までに連結売上高5兆円、営業利益率8%以上と高い目標を掲げてきた。これを達成するために「強い事業をより強く」、そして「強い事業を核としたソリューション事業の強化」として、これまで多くの不採算事業から撤退してきた。

 

 折りたたみ携帯電話を使っていた方には馴染みがあるだろう。三菱電機製の携帯電話が多く出回っていた時期があった。しかし、今では見かけることはほとんどない。携帯電話端末事業からは2008年に撤退。それだけではなく、半導体DRAMとシステムLSI事業、パソコン事業、そして洗濯機事業と次々に撤退している。特に半導体事業から撤退後、三菱電機から事業を譲り受けたエルピーダメモリルネサステクノロジの業績が悪化する等、先見の明があったことも幸いしている。収益のブレが大きい消費者向けの事業ではなく、直接企業を相手にしたB to B事業へとシフトしている。

 

バランス重視型経営へ

 

 不採算事業から撤退するだけでは成長戦略とはいえない。獲得してきた収益を借入の返済に回す段階は12年度には終わり、2012年度に自由に使える資金であるフリーキャッシュフローはマイナス709億円だったものが、2017年3月期には2,173億円に急増し、積極的に研究開発や設備投資を行っている。特に産業メカトロニクスへの投資が寄与し、営業利益の5割を稼ぐほどまでになっている。

 

バランスよく稼ぎ続けることはできるのだろうか


 三菱電機は今後もバランスよく稼ぎ続け、売上高5兆円を達成していくのだろうか。

 

 これから売上高で6,000億円の上乗せを狙うには海外で稼ぐことをこれまで以上に意識しないと難しい。ビルシステム事業では国内トップメーカーだが、新興国へも積極的に進出しており、すでに中国ではナンバーワンブランドとして認知度が高まっている。また、宇宙分野へも積極的に進出しており、トルコの国営衛星通信会社から通信衛星を受注していたり、日本の衛星メーカーとしては初となるアラブ諸国カタールから人工衛星を受注する等、非常に好調だ。宇宙事業は今後も成長が見込める分野である。高い技術力を求められるため、総合電機会社としての力の見せ所でもある。

 

 収益力は向上し、自由となるフリーキャッシュフローも増えた。今後はさらなる売上高増加のためにこれをどう投資していくかという視点もあるが、「お金に余裕があるからといって無理に買わない」と柵山社長は安易なM&A等は否定している。

 

 総合電機メーカーである三菱電機は5兆円企業を目指したさらなる成長曲線を描くには、今後一層の積極策が求められている時期かもしれない。